外観・内装以外にも開業のために必要な準備はたくさん!
店舗を構えるお店を開業するとなると、外装や内装、店内の設備などの物理的に大きいものについ気を取られがちですよね。
しかしお店を差別化する個性を引き出し、お客様の満足度を高めるための要素には、グラフィックデザインも大きく寄与しています。
とくに初めてのお客様が来店を決意するポイントには、お店から感じ取れる「雰囲気」が自分に合うかどうかという点も重要な位置を占めています。
お店の象徴となる「ロゴ」を始め、お店で利用するペーパーツール全般、オンライン上のお店の玄関となる「ウェブサイト」など、お店の世界観を演出するためにデザインするものは多様です。
この記事では美容室・ネイルやエステなどのビューティーサロンをオープンするにあたり必要になってくるショップツールと、ぜひ参考にしたい優れたサロンのデザイン事例をご紹介したいと思います。
お店のリブランディングを考えている方にも!
美容院・サロン開業にあたり必要なショップツールの役割
一口にショップツールと言っても、美容室やサロンでは想像以上に様々なものを揃える必要があります。
このセクションではヘアサロン・ビューティーサロンともにほぼ必須となってくるデザインツールのみを厳選し、それぞれの役割や効果について解説しています。
1. ロゴ
お店の象徴的存在となるロゴ。他店と差別化させ、お客様に認知してもらう顔となるロゴはデザインツールの中で1番慎重に検討する必要があります。
一般的にロゴデザインは文字をベースとした「ロゴタイプ」のみの場合や、「ロゴタイプ」と一緒に使用する「シンボルマーク(図形型)」を制作する場合があります。
2. メニュー
来店したお客様が必ず目にするショップツールであるメニュー。
ただわかりやすく情報を掲載するだけでなく、お店のイメージとブレないデザイン性の高いものだと好感度が上がります。ベーシックな紙を始めスタンド型など形状は様々なのでデザイナーと相談してお店にとって最適な形を模索しましょう。
3. 看板
お店の顔となるロゴをメインとした看板。営業時間や定休日なども記載する場合があります。
お客様が来店する際の目印としてはもちろん、偶然お店の前を通りかかった人への宣伝ツールとしての役割も果たします。こちらも形状は多種多様なのでお店の世界観やターゲット層に適したデザインになるよう心がけましょう。
4. ショップカード / 名刺
ショップカードは小さいながらもパワフルな販促ツールです。お店のレジ横に置いて既存のお客様が新規のお客様を紹介していただくきっかけを作ったり、近隣地域のお店に置いてもらうことで宣伝になったりと、使い方次第で想像以上の効果を発揮するアイテムになるでしょう。
名刺はよりパーソナルな点でお客様との繋がりを深めることのできるアイテムです。初回のお客様への自己紹介の際に渡すことで、お店だけでなくスタッフ個人としてのイメージもより印象的にすることができます。
5. ポイントカード
リピーター獲得のための後押しとなるポイントカードはぜひ用意したいところ。ポイントが貯まったら提供されるサービスや、通う回数が増えるほどランクが上がるシステムなど、継続してお客様が通いたくなるようなお店独自の特典・仕掛けを考案しましょう。
6. DM / チラシ
DMハガキやチラシは、普段あまりSNSやインターネットを利用しない人へも情報を発信することができます。また紙媒体の宣伝ツールは基本的にお店近辺の住民へ配布するので、よりターゲット層を絞りやすいのもメリットです。こういった点からターゲットに合った情報を掲載することがDMやチラシでの宣伝効果を上げるポイントとなります。
オープン時やキャンペーン開催時など配布のタイミングは様々ですが、いずれにしてもデザインを工夫したり特典を付けたりなど、“捨てられにくい”工夫をすることが大切です。
7. ホームページ / ウェブサイト
近年はポータルサイトのみで運営しているサロンも少なくはありませんが、同一テンプレートの中でしか情報を発信できないため、なかなか個性を活かした差別化をすることが難しいというのも事実です。
ホームページ制作における主な目的は、まだ1度も来店したことのない潜在的なお客様の心を掴むことです。お店の特性や世界観を見込み顧客へ効果的に発信するためには、やはりしっかりしたホームページを構える必要があります。
8. Instagramデザイン
ホームページが集客のための役割を担うのに対し、InstagramをはじめとするSNSは既存顧客との距離を縮めコネクションをより強固にするための役割を果たします。つまりお店のファンになってくれるお客様を増やすのに貢献してくれる大変大事なツールです。
Instagramのポストタイプには現在、フィードに流れる「投稿」以外に、24時間で消える「ストーリー」、音楽に合わせたテンポのいい短い動画の「リール」、比較的長い動画を投稿できる「IG TV」などがあります。
前者2つの「投稿」「ストーリー」はフォロワーとの交流のために一般的に利用されやすい機能です。どんなポストタイプにせよバランス良く一貫した雰囲気を感じられるポストをし続けることが、フォロワーからの信頼感を獲得するために重要になってきます。
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参考にしたい!美容室・サロンの優れたブランディング事例
ここからはお店の「らしさ」を効果的に引き出している、国内外の美容室 / サロン / スパの優れたデザイン事例をご紹介していきたいと思います。
【美容室】モノトーンの中にも洗練さが光るデザインツール
京都の美容室「ambiet」のロゴ・ショップツール・ウェブデザイン。静寂を感じるグラフィックデザインやウェブサイトの美しい写真からは、まるで美術館のような詩的な雰囲気を抱かせます。
グレーをベースにしていることや工夫されたグラフィック要素から、モノトーンを基調とするミニマルな世界観でも印象的なデザインになっています。来店したことがなくても一目見て美容室の雰囲気が伝わってくる、素晴らしいブランディングの成功例ですね。
【ヘアサロン】温かみ溢れるナチュラルなペーパーアイテム一式
ポーランドのヘアサロン「PIÙ」のロゴ・ショップツール ・看板・内装デザイン。
クラフト工房と伝統的な薬局からインスピレーションを受けて、お店のブランディングに落とし込んだそう。手書きのロゴや風合いのある耳付きの紙には、温かい雰囲気が溢れるサロンのイメージを感じられます。
ショップツールはメニューを始めショップカード、メッセージカード、封筒、ステッカー、商品タグ、スタンプなど多岐に渡りますが、すべて一貫性のあるデザインなのでプロフェッショナルな印象を生み出しています。
【スパ&ネイルサロン】上品さと華やかさが共存したブランディング
サウジアラビアの高級スパ&ネイルサロン「Four Spa」のロゴ・ショップツールデザイン。
お店が目指していたのはアメリカとアラブのカルチャーをミックスさせたモダンラグジュアリー雰囲気だそう。インパクトのあるピンクを基調としていますが、ミニマルな装飾やエンボス・箔押し加工で大人っぽさを引き出しています。
中でもアイコニックなピンクのショッパーは、お客様がホテルやモール、街中で携帯することで「歩く宣伝ツール」としての役割も担うことを狙っているそうです。印象的なカラーやロゴは人の目を引くことができるので、とても参考にできる事例ですね。
【眉・まつ毛サロン】ロゴからはじまるストーリーのあるデザイン
中国のビューティーサロン「komorebi」のロゴ・ショップツールデザイン。
ショップツールは全体的にクリーンでナチュラルな印象で、世代を問わず好感を持たれやすいデザインです。シンプルな世界観の中で箔押しされたゴールドが引き立ちアクセントになっています。
ロゴにもまつ毛や眉毛の形が落とし込まれており、コンセプチュアルなユニーク性を持たせています。
【ネイルサロン】おしゃれな世界観が垣間見えるウェブサイトが魅力
ハンガリーのネイルサロン「NAIL’s ROOM」のロゴ・グッズ・ウェブサイトデザイン。
キャッチーなタイポグラフィーが印象的なロゴデザインは、3通りに組み合わせることができるので、必要な場面に合わせてフレキシブルに対応することができます。
ブランディング全体を通してカジュアルさとエレガンスさのバランスが取れていて、スタイリッシュなお店のおしゃれな雰囲気が出ています。
美容サロン・エステ・スパ…あなどれないデザインツール
今回は美容室やサロン、スパなどの開業に必要なものとその役割、そして洗練されたサロンのブランディング事例をご紹介しました。
グラフィックツールはアナログ・デジタル両方の世界で、お店の魅力を引き上げる力があります。
お店のファン(=リピーター)になってもらえるお客様を増やすためには、細やかな点までこだわりを持ってお店独自の世界観を打ち出しましょう。