デザインの力で商品価値を引き出す、農業ブランディング
商品が持っている価値を十分に伝えられていないと勿体無いと思いませんか?
デザインには商品が持つポテンシャルを引き出す力があり、農業などの一次産品においても効果は同じです。
また生産している作物を利用し、二次産品として商品展開することによってさらに可能性が広がることもあります。
農業はしっかりブランディングをすることで大きな効果が得られる分野です。
《 農家・農業のブランディング効果 》
- 商談会でのアピール度を上げる
- お客様の商品シェア率を上げる
- メディアでの注目度を上げる
- 贈答用としてより多くの人に選んでもらう
ブランディングとは、簡潔に言うとブランドや商品の価値を向上させる経営戦略です。
ブランド・商品が持つ強みや個性といった抽象的なものを多角的に表現し、その世界観をお客様が直感的に感じることができるようにします。
今回は農業のブランディングについて、りんご農園のブランディング例とともにご紹介します。
ブランド戦略・ネーミング
まずターゲットの選定をはじめとするブランド戦略を練ります。場合によってはネーミングやタグラインも考案することもあります。
その後、ブランドの方向性に基づいてビジュアルコンンセプトを定め、ブランドをイメージするカラーなどを設定します。
今後制作する全てのビジュアルがここで定めたルールに沿って作られます。
▷りんご農園の事例
今回ブランディングするりんごの場合:
- 長年の研究からりんごの甘みが一番出るよう肥料開発を行い、工夫を重ねて生まれたサンふじ品種のりんご
- 6個入り3000円 10個入り 5000円
- 高級りんご。贈答用・プチ贅沢向けに販売
- 今までにない感じのデザインにして差別化したい
- モダンでおしゃれな印象にしたい
以下、ブランド戦略ののち決定したビジュアルコンセプトです。
「架空のおとぎ話」をテーマにビジュアルを展開。
ネーミングは、19世紀末におけるヨーロッパの芸術に好んで使用されたモチーフのファムファタル(フランス語で「運命の女性」の意味)から着想し、「運命のりんご」という意味のpomme fatale(ポムファタル)と名付けました。
ビジュアルで使用するカラーパレットは、ネイビー・ゴールド・ホワイト。ターゲットを考慮し高級感のある落ち着いた印象を与える色合いにしました。
とくに意識したのは競合ブランドのりんごとの差別化です。他社のビジュアルデザインは素朴でナチュラルな雰囲気を押し出しているものが多いのに対し、こちらはワンランク上の雰囲気や世界観を表現することで差別化を図りたいと考えました。
伝統的な印象も与えながらモダンにブラッシュアップしたビジュアルを目指します。
ロゴ
ブランドを象徴する要素。他社と差別化させ、消費者に認知してもらう顔です。
ロゴには、文字をベースとした「ロゴタイプ」と図形を使った「シンボルマーク」の両方を使用する場合や、「ロゴタイプ」のみを使用する場合があります。
▷りんご農園の事例
ヨーロッパのアンティーク本の表紙に使われているような書体をイメージ。あえてシンボルマークのないロゴにすることで、パッケージやウェブサイトなど様々なビジュアルにおいて汎用性のあるデザインに。
パッケージ
一般的な農家のパッケージデザインとしては、果物そのものを入れるものや、ジャムやジュースなど展開商品用のものが必要です。フルーツ狩りなどを行っている農家の場合は、持ち帰り用のパッケージなどもあります。
一般的にブランディングにおいては1つのブランドが展開する様々な商品が、一目見て同じ系列のものであることがわかるようなデザイン展開が理想です。お客様が各商品ごとに別の場所で認知したとしてもブランドに抱くイメージが点と点で繋がり、より大きなインパクトが期待できます。
▷りんご農園の事例
制作物の中でもメインとなるりんご用のボックスは、「架空のおとぎ話」というテーマから本をモチーフにしたデザインにしました。よりレトロな風合いが出るよう、20世紀初頭の植物図鑑に描かれたイラストをメインイメージとして用いました。それに対して装飾的なラインなどのグラフィック要素はミニマルでシンプルにすることでモダンな印象を融合させました。
ジャムとジュースのパッケージは、りんご用のボックスで使用したグラフィック要素を用いながら統一感を感じさせるデザインにしました。
ウェブサイト
農園の紹介や商品のこだわり、受注開始のお知らせや、お問い合わせフォーム、オンラインショップなどの情報を載せます。
ブランドや商品を、地域を超えて全国の人に知ってもらうために今や不可欠なツールです。
その他にもinstagramやtwitterなどを利用したSNSデザインも近頃では主流となりつつあります。
《あわせて読みたい》
▷りんご農園の事例
トップページは本の表紙のような役割です。シンプルかつ大胆にりんごのイラストを真ん中に配置させることで、興味を引く印象的なデザインにしました。各メニューのページは開いた本をイメージしてデザインし、おとぎ話の世界観をウェブサイト上でも表現しました。
グッズなど
スタッフ間で使用するTシャツやエプロン、イベントのノベルティとしてのバッジやシール、販売用グッズとしてのマスキングテープやキーホルダーなど様々あります。
スタッフの士気を高める効果や、ブランドの一貫性が高まることによるイメージアップ効果、販売促進目的などの用途で制作します。
農家・農業をデザインの力でさらに輝かせる
ブランディングとは何か?農家・農業においてはどんなデザインが必要なのか?
りんご農家の事例と共にご紹介しました。
デザインには商品の価値を伝えきれていない勿体無さを減らし、ポテンシャルを引き出す効果があります。
《 農家・農業のブランディング効果 》
- 商談会でのアピール度を上げる
- お客様の商品シェア率を上げる
- メディアでの注目度を上げる
- 贈答用としてより多くの人に選んでもらう
デザインの力が地方産業をより元気付け、さらには地域の活性化にまで貢献できることを日々切に願っています。
デザインのお悩み・ご相談など、お気軽にお問い合わせください
Jessica Maiko Tam
PLAN Jのグラフィックデザイナー。愛知県生まれ。
ここでは日々の生活にまつわる「これいいな!」と思ったモノ・コトを私なりにキュレーションして発信しています。普段は“生活を豊かにするクリエイティビティ”を基軸としたデザイン従事者。
JESSICA M. TAM
PLAN Jのグラフィックデザイナー。愛知県生まれ。
ここでは日々の生活にまつわる「これいいな!」と思ったモノ・コトを私なりにキュレーションして発信しています。普段は“生活を豊かにするクリエイティビティ”を基軸としたデザイン従事者。
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